百年の重みが、形になりはじめた。
2026/06/21
百年の重みが、形になりはじめた。
——「百年の重みを考えるプロジェクト」試作の記録
百年かけて育てた木の、これまで山に置いてきた部分——根張りや枝——を、ただ朽ちさせるのではなく、作品として世に出したい。その思いからはじまった「百年の重みを考えるプロジェクト」。
試作品、第一号。
まず取り組んだのは、椅子です。
根張りの部分は、直径50cmを超えるものも珍しくない。その大きさと存在感を活かすなら、木の中に包み込まれるようなものができる。では座るものがいい。そう考えました。
チェーンソーと手作業を組み合わせ、少しずつ形を削り出していきます。まだ荒削りで、樹皮も残っている。それでも、削るたびに現れる木の表情に、思わず手が止まることがあります。
一本の木から、三つの顔が現れる。
この椅子を作っていて、あらためて思うことがあります。
同じ一本の木なのに、削る方向によって、まったく異なる木目が現れる。木が持つ不思議さです。
我々が見ている木は、ある方向で伐った断面であり、木の一表情に過ぎません。
木は成長する過程で、普段目にすることのない重厚な層を内側に積み重ねています。
百年の時間が経てば、その層もさまざまな顔となります。
丸太を切る方向によって現れる木目の違い
- 座面(木口面)木を水平に切ると、年輪がそのまま同心円として現れます。百年分の輪が、そのまま座面に刻まれる。
- 側面(板目面)縦方向に切ると、年輪が流れるような縦縞になります。これがいわゆる「板目」。
- 背もたれ(板目面)波打つような板目模様が現れます。
座面を見る。背もたれを見る。側面を見る。それぞれがまったく違う顔をしているのに、すべて同じ木から生まれています。
それは一本の丸太をそのまま加工する面白さであり、百年以上の木だからこそ、椅子として根張りの丸太をまるまる加工することができます。
百年の時間が、木の中にどこを切っても詰まっている。これほど豊かな表情が普段人は見ることのできない部分にある——改めて、この木の持つ力を感じます。
座面下をくり抜いた木で、猫を彫った。同じ一本の百年スギから。
これから時間をかけて
今回ご紹介した試作品は、まだ完成ではありません。
表面の仕上げ、乾燥の工程、細部の調整。これからも時間をかけて、丁寧に向き合っていきます。
乞うご期待を。
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