今年も1月から3月中旬にかけて、当社の百年杉を限定的に伐採しました。この伐採は、今の百年杉をさらに百年・二百年後により良い木を次世代へ残すために欠かせない作業であります。
毎年、百年杉の伐採に立ち会うなかで、ある疑問が浮かぶようになりました。根張りという部分(地表から1m弱)についてです。根張りの部分は、かつては「元玉(木の一番下の部分)の証」として大切にされてきた部位でした。しかし製材や流通の効率を高めるなかで、より高く売れる幹の部分を最大限に活かすために切り離されるようになり、結果として、当社を含め多くの現場でそのまま山に置いてくることが多くなりました。もっとも地域や市場によっては今もあえて根張りを残して出材しているところもあり、一概にはいえませんが、少なくとも当社ではそうした選択をしてきたことが多いのが実情です。価値がないから捨てたのではなく、経済合理性を優先した結果として、後まわしにし続けてきた——というのが正直なところです。また枝についても、バイオマスとして利用されることもありますが、多くは放置されたままです。百年物ともなると、それらも相応に大きく育っています。当たり前のように置いてきたものが、ふと「もったいない」と感じられるようになったのです。
たとえば、根張りの部分。百年物では直径50cmを超えるものも珍しくなく、小ぶりなイスであればそのまま作れてしまいそうな大きさです。置いてきたとは思えない、十分な存在感がそこにあります。

